手稲渓仁会病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科部長 古田康先生に聞きました

家庭での鼻水吸引について

医療用電動式吸引器(パワースマイル、スマイルキュート)を用いて、家庭内で鼻水の吸引を行うことについて、先生はどのように思われますか?
注意して行えば、良いことだと思います。
「乳幼児から使用可能」としていますが、月齢では何ヶ月以降を目安としたほうが良いでしょうか?
鼻汁が問題になるのは通常は生後3-4ヶ月以降でしょう。
耳への影響を避けるため、もう片方の鼻や口を塞がないようにして長時間鼻に当て続けるのではなく、短時間(3秒~5秒程度)の吸引を左右交互に行うようにとクイックマニュアルなどには記載しております。
実際の医療現場ではどのように行っていますか?
診察時には、片方ずつ吸引しています。実際に使用してみましたが、もう片方の鼻を塞ぐと、中耳が陰圧になります。
「長時間一方の鼻に当て続けるのではなく、短時間(3秒~5秒程度)の吸引を左右交互に行う」のが良いでしょう。
厚生労働省のホームページより閲覧できる「喀痰吸引等研修テキスト」では、鼻腔内吸引の場合は20キロパスカルくらいからと記載されております。
鼻水吸引の設定圧としては適当でしょうか?
鼻水の性状(さらさら、ねばねば)により、若干吸引圧は異なりますが、鼻水の場合強く吸いすぎないことが重要であり、吸引圧の調整を正しく行い20キロパスカルくらいまでにしておくのが無難だと思います。
吸引のコツとして、お風呂上りなど、鼻水の出やすいタイミングでオリーブを鼻に密着させ、長時間鼻に当て続けるのではなく、短時間(3秒~5秒程度)の吸引を左右交互に行うようにと案内しております。
手技としては適当でしょうか?
手技としては適当と考えます。鼻水が詰まって苦しそうな時にも吸引するのが良いと思います。
カテーテルを用いて吸引を行う場合、何を注意したらよろしいでしょうか?
細いカテーテルを鼻の奥に挿入する場合、鼻粘膜を傷つけることもあるので注意が必要です。(あまりお勧めできません)
乱暴に挿入しない、短時間の吸引に留めることが注意点です。
鼻の入り口をやさしく吸引するくらいに留めてください。
パワースマイルでは2m、スマイルキュートでは1.3mの吸引ホースを付属しています。
院内ではどのように使用していますか?
病院では2m程度の長いホースです。使用しやすいように短く(カット)して良いと思います。
吸引ホース洗浄用に別売りで洗浄ブラシ(450mm)等を用意しております。
院内では吸引ホースをどのように洗浄し、乾燥させていますか?
使用時に水通しと消毒薬液の吸引を行い、詰まった時にホースごと交換しています。
乾燥させる場合は自然乾燥です。
鼻水吸引キットのボトル容量は約8mLです。1回のサイズとしては適当でしょうか?
8mLあれば十分です。一回一回廃棄してください。
本製品は家庭での鼻水吸引のほかに、どのような使用方法があるのでしょうか?
ベッドサイドのポータブル吸引器として、喀痰の吸引、唾液の吸引、耳漏の吸引など、臨床現場で使用できると思います。

※スマイルキュートをご使用頂いたうえでの、あくまでも個人の感想です。